警察官が凶悪犯に発砲するのは正当な職務
激しく破損した逃走車両(C)産経新聞
萩原警部補「傷つきそうな人がいるのに止められないのは警察官失格だ。時と状況によっては撃つ」
事件が発生したのは2003年の09月。
奈良県橿原市のパチンコ店で窃盗(車上荒らし)を目撃された犯人は、自動車で逃走。
国道24号線を最大140kmの猛スピードで警察車両や一般車両に衝突を繰り返しながら北上した。
警察は大和郡山市で警察車両を国道中央に横付け、その脇を一般車両を通し、追跡する警察車両とで逃走車両を挟み撃ちにする作戦を取った。
結果、犯人が運転する逃走車両は一度は停車した。
しかし、警察官の降車命令を無視し再び暴走を開始し、国道を封鎖する警察車両に発砲警告を無視して追突をくり返した。
あらかじめ携帯電話で連絡を取っていた逃走協力者との合流点を、現場の警察官を轢き殺してでも目指そうとしたのである。
「発砲!撃て!」
東巡査部長と萩原警部補を含む3人が合計8発を発砲。
運転席の男に1発、助手席の男に2発が命中した。
そして、助手席に乗っていた犯人のうち一名が死亡した。
2010年1月。
助手席の男性が死亡したのは警察側の対応に問題があると男性の母親(72)が、県と警察官4人を相手に約1億1800万円の損害賠償(国家賠償請求)を求めていたが、奈良地裁はそれを棄却した(現在、大阪高裁で係争中)。
2010年5月。
奈良地裁・一谷好文(イチタニヨシブミ)裁判官が提出された『付審判請求』を受理し、警察官2名が裁判員制度の対象となる特別公務員暴行陵虐致死罪(刑法196条)と同致傷で裁判が行なわれる事となった。
2011年01月20日
奈良地裁・橋本一(ハシモトハジメ)裁判長が『訴因変更手続き』認め、警察官2名は、さらに『殺人罪』でも裁かれる事となった。
加えて致傷罪で裁かれる予定であった警察官も致死罪に変更された。
これで警察官2名共に、『裁判員制度』の対象となった。
そして2012年2月28日ついに判決。
「車は当時暴走していて、ほかに手段はなく、発砲は正当だった」として、2人に無罪の判決が言い渡された。
今回の事件報道は、警察官の発砲で死亡した、かわいそうな犯人が~などばかりだったが、今回の事件は、幾度もの停止命令を無視し、一般人に危害を加えてでも逃げようとした犯人を、警察官がギリギリの判断をして発砲に至った事件である。
結果的に犯人のうち一名が死亡し、その事を悩み悔やむ真面目で善良、優秀な警察官が殺人罪で裁かれる事などそもそもあってはならない。
運転していた犯人は、窃盗の前科があり執行猶予中で、しかも覚醒剤を使用していた。
そして助手席に乗っていた死亡した犯人も、カード詐欺などをおこない仮釈放中の身であった。
運転していた犯人は既に刑期を終えて出所しているが、犯罪を繰り返すだろうという思いは拭えない。
そう考えると、助手席の死亡した犯人は、これ以上に罪を重ねる事が出来なくなったので幸運であったといえるのかもしれない。
産経新聞の記事に、唯一覚醒剤の記述があったので以下に転載。
以下記事転載 -----
市民の判断は「正当な発砲」 奈良地裁が無罪判決で(2012.2.28 15:51 MSN産経ニュース)
奈良県警の警察官発砲事件の判決公判が開かれた奈良地裁の法廷=28日午後(代表撮影)
逃走車への警察官の発砲をめぐり裁判員が下したのは「正当な職務」という判断だった。奈良県大和郡山市の警察官発砲事件で奈良地裁は28日、殺人などの罪に問われた奈良県警の警察官2人に全面無罪を言い渡した。
萩原基文警部補(35)と東芳弘巡査部長(35)。事件発生当時、逃走車に2人が放った銃弾が助手席の男性=当時(28)=に命中し、致命傷となった。
車の窓ガラスには遮光フィルムが張られ、内部の様子はうかがえない。指定弁護士は興奮状態の2人が男性の安全に注意を払わなかったと述べ、「取り逃すことがあっても撃つべきではなかった」とした。
「犯罪を指をくわえて見過ごせ、というのか」。弁護側が強調したのは「常軌を逸した逃走行為」。逃走車の運転手は当時、覚醒剤を使用。前後をふさぐパトカーや捜査車両に何度も車をぶつけた。
「(一般車の)市民に多数の死者が出るのではないか。拳銃を使うしかなかった」(萩原警部補)。「自分は警察官。何とか市民を守らなければ」(東巡査部長)
死亡した男性には「できれば生き返ってほしい」と胸中を明かしたが、裁判員から今後の拳銃使用を尋ねられて萩原警部補は「傷つきそうな人がいるのに止められないのは警察官失格だ。(だが)時と状況によっては撃つ」と述べた。
2人の弁護団は無罪判決に、「当然の判決。裁判員、裁判官には大変な審理をとげられたことに敬意を表したい」とコメントした。
■付審判制度 公務員に職権乱用の疑いがあるとき、検察官の不起訴処分に不服があれば、告訴・告発した遺族などは管轄の裁判所に審判に付すことを請求できる。裁判所が審判に付す決定をすると、起訴と同じ効力を持ち、裁判が開かれる。検察官役は裁判所が指定した弁護士が担う。最高裁によると、これまでに決定があった事件は21件で、有罪確定は9件。
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